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時計

大金持ちと言えば、絵画、車、宝石、そして時計だ。

実用性でいえば車が一番高そうだけど、この本を読むとそうとも言えないような気分になってくる。

成功したスポーツ選手が付けている海外の高級時計というのは何百万もする。こういう時計は一般的な電池でクウォーツを振動させて動かすクウォーツ時計ではなく、ゼンマイを巻いて動く機械式時計だ。

日時計があって、水を利用した水時計、そこから振り子の規則正しい動きを利用した振り子時計が出来た。ただ、こうした仕組みでは持ち歩きが出来ない。それからヒゲゼンマイと呼ばれるバネを巻き上げてバネが戻る力を利用したゼンマイ時計が出来た事で持ち歩き出来る懐中時計が生まれた。さらに部品の小型化、材質の進化で腕時計に発展した。

考えてみると電気も電波も使わずにバネの戻りの力だけで正確に時を刻むというのはスゴイ技術だと思う。今日は何事も電気で動いている中で冷静になるとそのスゴさが分かる。

こうした超精密な機械である時計で有名なのはスイスであり、有名なメーカーのほとんどがスイスに工房を構えている、あとはドイツのグラスヒュッテという村が独特の伝統で名機を生み出している。このスイス、ドイツに日本のセイコー、シチズンが肩を並べている状況らしい。

誰もが知っている高級時計と言えばロレックスだが、技術、格式、複雑機構などから世界三大時計に選ばれているのは、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンの3社だ。パテック・フリップの名機はオークションで50億円越えや150億円越えの物もある。

機構としては一定方向に重力がかかり続ける事による時間のズレを防ぐため脱進機が廻り続けるトゥールビヨン、永久カレンダー、時刻を音で知らせるリピーター、時報機能のソヌリ、そしてもっとも複雑と言われる天文時計などがある。

これらの超複雑で精密な仕組みを職人がパーツ一つ一つを手作業で削り出して磨き上げる。

技と技術と独創性、そして美しさ。

これは面白くて仕方がない。ハマったらズブズブ沼のように抜け出せなくなりそうだけど、ハマれるくらいの財力がある人もそう多くはないだろう。