ソロモンの偽証5

ソロモンの偽証、法廷編の上巻。

3,4巻で学校内裁判の準備を描き、この5巻から裁判に突入する。
裁判編に入ると主人公である検事側、弁護側ともに客観的に描かれる。廷吏の山崎君の目線と佐々木刑事、陪審員の倉田さん、主にこの三人の主観を通して裁判は進む。

恐らく、検事、弁護人の主観で進むと先の展開や次の証人に関することが出てきてしまうので、こうして第三者から進めているのだと思う。
そして、証人としては出廷が難しいと思われていた人物が次々と出てきてそれぞれの立場から証言をしていく。ただどの証言が嘘で、どの証言が真実なのかは明確ではない。

裁判前半の5巻においては真実に近づいている印象はまだない。

これはこれで最終巻の6巻で裁判が大きく動いて真実が浮き彫りになるというワクワク感が高まる。

主観が目まぐるしく移り変わるので、登場人物の誰にも感情移入させないのはかなり独特な書き方だと思う。
それでいてちゃんと面白い。
あと本当の裁判ではないけれど、何となく裁判というものがどういう仕組みになっているのかも分かって為になる。