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ハヤブサ消防団

池井戸潤さん原作とはいえ、そんなに期待していなかったドラマ「ハヤブサ消防団」。派手さもないし、キャストにフレッシュさもない。そして田舎が舞台で出演者の数も少ない。

まず意外だったのが、「半沢直樹」や「下町ロケット」などのビジネス大逆転活劇とは全然違うミステリードラマだという点だった。正直、こういう話も書ける幅の広さに驚いた。

田舎の消防団の活躍とか青春の話でもなくて、物語の軸になるのは連続放火事件。そこに地元住民の水死体が上がったり、新興宗教が絡んできたりメガソーラーの業者がかかわってくる。少ない登場人物ながらそのほとんどの人たちがどこか怪しい。

事件は淡々と起こり、劇的な高ぶりもないまま時間も淡々と進んでいく。
渋いベテランの役者さん達で色々ありながらも淡々と田舎の日常が描かれる。

主演の中村倫也さんは強烈なカリスマ性とか存在感で魅せるタイプではないけれど、こうした淡々と進む演技力のいる役は適任だったと思う。本当に抜群に演技が上手く、この物語の世界に長年住んでいてこれからも生きていくような自然さが出ている。

すごくお金をかけた大作ドラマもあるけれど、逆に地域、登場人物とその質を確保して絞っているだけにとことん緻密に田舎の日常と怖さ、怪しさを表現している。

これは面白い。